鈴木 美和子
東京大学大学院総合文化研究科 地域文化研究専攻 博士課程
研究テーマ
ドイツ人住民と占領 ―ベルリンにおける食糧問題を中心に―
研究内容
第二次世界大戦後のドイツでは、第三帝国からの連続性、東西ドイツ分裂、そして統一ドイツという問題が常に語られてきた。40年間続いたドイツの分裂は、冷戦の深刻化の中で決定され、統一を果たした現代のドイツにも大きな爪痕を残した。そして旧東ドイツは、今や統一ドイツの自国のひとつの歴史として捉えなおさなければならなくなったと同時に、史料の公開とともにその研究が盛んに行われるようになった。また、東西ドイツ分裂の出発点である占領期に関する研究は、80年代からの研究を受け継ぎつつ90年代以降再考されることとなった。
1980年代、西ドイツ国内の歴史研究で日常史や社会構造史研究が取り組まれていく中で、占領期に関してもより幅広い研究が行われるようになっていたが、ソ連占領地区については2000年以降急速に研究が進められた。その中で、占領体制と占領下の社会状況が次第に明らかとなってきたが、未だ西ドイツのそれとは比較しようもない。
1945年6月中旬、ドイツは4カ国分断統治下におかれた。戦中からロシア人を下等人種とみなしていたドイツ人住民にとって、ロシア人による占領は衝撃的なものであった。占領期社会を研究するには、まず占領軍兵士と住民とのかかわりを念頭におかなければならない。そのため下記が研究の目的である。
１．占領政策はどのように実施されたのか。
２．社会はこれをどのように受け止めたのか。
３．占領はドイツ人住民にどのような影響を与えたのか。
４．占領の開始は、ドイツ社会に変化をもたらしたのか。
５．変化をもたらしたとすれば、何がどのように変化したのか。そしてそれはなぜなのか。
これらを検討すべく、食糧配給システムと食糧獲得活動からドイツ人住民と占領軍との関係を明らかにしていく。まず、食糧配給制度がどのように制定され、どのように実施されたのか。そしてそこにはどのような人たちが、どのくらい参加したのか。配給制を実施する過程で、社会主義へ移行していく東ドイツでは、どのように社会主義勢力が浸透していったのかを考察している。
さらに、戦前のドイツ人とロシア人の関係の連続性も検討している。これは、ドイツとソ連の関係を中長期的に検討することにより、戦後ソ連による占領がドイツ社会に与えた影響を検討することにも役立ち、かつ東ドイツにとって1945年がどのような意味を持ったのか、について検討していくことにも役立つと考えられる。
SUZUKI, Miwako
Graduate School of Arts and Sciences, Department of Area Studies, Universität TokyoForschungsprojekt
Die deutsche Bevölkerung und die Besatzung - das Ernährungsproblem in Berlin -
Seit Mitte Juni 1945 war Deutschland in vier Besatzungszonen aufgeteilt. Der Schock für die ostdeutsche Bevölkerung war größer als im Westen, weil die Besatzung von den Russen durchgeführt wurde, die von den Deutschen als „minderwertige Menschen“ betrachtet wurden.
In meiner Forschung möchte ich mich mit dem Verhältnis zwischen der deutschen Bevölkerung und der Besatzungsarmee beschäftigen. Besonders wird die Situation im Jahr 1945 in Ost-Berlin thematisiert. Ich betrachte dabei die folgenden Aspekte:
1. Wie wurde die Besatzungspolitik durchgeführt?
2. Wie nahm die deutsche Gesellschaft die Besatzungspolitik auf?
3. Wie wurden die Deutschen von der Besatzung beeinflusst?
4. Hat sich die deutsche Gesellschaft durch die Besatzung geändert?
5. Falls die deutsche Gesellschaft sich geändert hat, was hat sich verändert? Wie hat sie sich verändert? Und warum sind die Veränderungen aufgetreten?
Ich betrachte die deutsche Bevölkerung und Besatzungsarmee in Bezug auf das Ernährungssystem und die Tätigkeiten der Lebensmittelbeschaffung. Dabei interessiert mich erstens die Frage, wie das Ernährungssystem festgelegt und ausgeführt wurde, und zweitens, welche und wie viele Menschen daran teilnahmen, und wie sich der Sozialismus in Ostdeutschland ausbreitete, nachdem das Ernährungssystem zur Ausführung gebracht worden ist.